地方創生策・異議あり!(佐々木信夫)
今回は日本地方自治創造学会の理事長である穂坂邦夫氏の論説を、筆者も同意見であるという観点から紹介させて戴きます。下記の論説の通りだと考えます。2000年改革を忘れ、安倍政権の再集権化に地方創生が、石破政権まで貫通してしまっている。上から目線の地方創生なんて、古い2000年改革以前の上下関係時代の国と地方の構図を呼びさましているに過ぎない。地方の内発力を高める策こそが「地方創生」であって、国が創るものでは全くない。石破政権の1丁目1番地とされる「地方創生」、これでは看板が大泣きする。再考を願いたい!
以下、穂坂邦夫氏の論説を全文紹介します。これが本筋だと思います。
的外れの地方創生伴走支援制度
‶活性化は地方の自由な発想を活かすことが基本原則です〟
穂坂 邦夫((財)日本自治創造学会理事長)
国は何を考えているのでしょうか。不可解でなりません。地方創生2.0の推進に向け「国の職員がこれまでの経験を活かして自らの仕事を行いながら、地方創生に携わり、課題を抱える中小規模の自治体に寄り添って支援」を実施する「地方創生伴走支援制度」を立ち上げました。しかも、ご丁寧なことに、総理自らが地方を訪れ‶中央省庁の職員が、地方の伴走者として今までの経験を活かし地方に知恵を貸して、様々な課題を解決するために支援を行います〟と説明までしています。
私は県の職員、町の職員、市議会議員、県議会議員、市長として地方と向き合い、実務はもとより、地方の自立や補助金の改廃などについて構造改革特区にも多数の提案をしてきました。その間、国の官僚の方々とも深いお付き合いをさせて戴き、国の職員が地方に対する経験をどれほど積んでいるか、それぞれの地方の個性や地方の基本的な行政のあり方などについての知識を持っているのかも理解をしてきました。
私は国家公務員としての彼らの能力については一定の評価をしていますが、地方行政については素人と言っても過言ではありません。そのうえ、地方は幼児ではありませんし、無能な人材の集まりでもありません。多少、バラつきはあるものの、優秀な職員は沢山います。伴走支援制度は的外れであるばかりでなく、これほど地方をバカにした施策を聞いたことがありません。国の地方より上位者だとする思い上がりと‶地方自身では何も解決出来ない〟とする国の傲慢さを感じると共に、‶地方をバカにするな〟の思いが湧き出てきます。
本来的に、我が国の地方に対する行政制度は様々な問題点を内包しています。国が地方に押し付けてきた地方自治法も不可解なところが沢山あります。300万人の政令市も3000人の村も同じ行政方式を押し付け、全国を一律的に運営し、管理する手法です。国庫補助制度による上下水道や道路の設置にしても「地方の規模や地域の特殊性」を考える事もしません。欧米では行政規模に合致した多様な地方制度さえ認めています。今日までの分権改革を見ても、木を見て森を見ない、いわば小手先の改革に終始しています。基本的に国は今日まで一貫して、地方を一律的に管理してきたと言っても過言ではありません。
「住民自治」は住民が自ら治めるのが大原則です。民主主義を守るための規律は必要かも知れませんが、全ての自治体を「全国一律、護送船団方式」として運営することを基本としているのが我が国の地方に対する基本的な姿勢です。地方自治体は人口だけでなく地域の大きさも、地域環境も大きく異なるのです。
地方を強くするためには、地方の裁量権をもっと大きくして、自ら考え、自らが決定する「自立性のある地方」をつくらなければなりません。それにも関わらず「国家公務員」の経験を活かして地方の伴走者とするこの制度は明らかに逆行しています。寄り添うのではなく、地方の足を国が伴走者として縛るのではなく、「自由にやって下さい」と距離を置くことが国の基本的な役割なのです。
国は地方の再生の方策に関して、基本的な誤りを犯していると断じざるを得ません。今こそ、地方自身の自立を図ることが、再生の大道であり、その道しかないことを肝に銘じることが必要です。 (日本自治創造学会メールマガジン第107号巻頭言より、25年3月)