2022年6月19日日曜日

「第3臨調」の設置が本丸だ

 6月26日、令和国民会議と称する”民間臨調”が発足した。100人の専門家で持続可能な財政や社会保障、国のかたちを3年かけて提言するそうだ。選挙前とあって岸田氏ら与野党6党首も揃って参加し祝意を述べた。

この営み自体には私も大いに期待するが、しかし、違和感はないか。民間任せのこの姿勢!全党揃って祝意を示すぐらいなら”隗より始めよ!”ではないのか。
 
今これをやるのは内閣、国会の本業だ。政治の仕事は将来の設計、改革羅針盤を示すことだ。なので、改革主体は民間ではなく政府自身!それが改革主体の本丸ではないのか。高成長から低成長へ、国鉄改革、官民見直しなど大きな仕事をした土光臨調(第2臨調)から既に40年経つ。人口が増え経済が成長し税収の増える右肩上がり、膨張時代は終っている。
 
ここは”日本をリセットする”そのために第3次臨時行政調査会(第3臨調)を設置すべきだ。これ以上、”改革なき政治”を続けることを許してはならない。国民、国家が疲弊するだけだ。
統治の仕組みを含むあらゆる分野を大胆に見直し、賢くこの国をたたむ。その方向を明示し国民と共有する。大原則は次世代にツケは回さない。そうした志は今の政治家にはないのか。
 
この大改革から政治は逃げるのか!口先だけ上手な、パフォーマンス、TV映りだけ気する、そんな政治家はもう要らない!改革の捨て石になれ!
#新たな国のかたち
 
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2022年6月10日金曜日

「憲法改正」もっと大局観を有すべし

参議院選挙が近づいていることもあるのか、憲法改正の話題が多くなっています。私は改正論議自体は是としますが、残念ながらその議論は少し大局観に欠けるのではないか。そこを問題にしたいのです。

ご承知の通り、憲法というのは法治国家の土台をなす基本法として、基本的人権を国家権力の侵害から守る面と、国家権力が乱用されないよう権力行使に歯止めを掛けるという2つの面があります。いま議論されている憲法改正はどうでしょうか。

与党の提案している憲法改正は①緊急事態条項、②教育の無償化、③第9条に自衛隊を明記、④参議院の合区廃止という4つです。さあ、どうでしょう。この4つの項目から次の時代が見えてくるかどうか。私の見る限り、答えはノー。

というのも、それぞれが既に法律で処理されていたり、財政で賄われていたり、実態として国民が認知していたり、特定の地域のみで問題にされている項目ばかりだからです。例えば都道府県の枠を超えた合区に反対と言いますが、135年前の馬、船、徒歩の時代にできた47の区割を維持したい、選挙の都合でそう言っているように見えますが、違うでしょうか。

憲法改正は、次の時代の骨格を決めるのに極めて不都合な点があるとすれば、それを変える。そうした機会です。確かに今、世界の情勢は変化しており、だから軍事力を増強したい。戦後憲法も施行から75年経ち色々綻びが出ている、だから見直したい。こうした認識は間違っていないと思います。ただ問題はその中身です。何を優先し、次の時代はどんな国をめざすのか。

わが国でいま確実に言えることは、明治以来このかた人口は増え、経済は成長し、財政も行政も膨れることを当たり前としてきた国家運営が大きな曲がり角に来ている、これまでの流れが大きく反転し始めたということです。右肩上がりから右肩下がり社会へ。急速な人口減少国家となり、政治も行政も財政も簡素で効率的な仕組みにしない限り、国民は増税に追われ、国家衰亡に追い込まれかねない。こうした大変化に対し、これまでの古い仕組みをどう大転換するのか、そこがポイントではないでしょうか。

少し前、私自身、衆議院の憲法審査会に参考人として招かれ、3時間に及ぶ意見陳述、質疑応答に参加する機会がありました。そこで述べたのは、これからの「国のかたち」をどうするかです。財政規律をどう保ち、地方分権の国をどうつくるのか。わが国行政の3分の2は地方自治体が担っているが、戦後憲法で保障したはずの地方自治について現行憲法第8章の地方自治の規定はあまりにも空疎であり、中身は全て法律任せになっている。時の政権によって、ある意味都合よく中身を変えられる、そうした性格を払しょくできない。これを問題視しました。

憲法改正について私論を述べるなら、まず第1、借金大国の動きをどう制御するかです。ドイツの連邦基本法第115条にはゴールデン・ルールという規定があり、国債の発行額は連邦基本法の裏付け額必要で、その額は予算で見積もられた投資支出総額を超えてはならないとされている。日本国憲法にはこうした規定は全くなく、ある意味、借金は野放し状態になっている。財政が破綻した時、誰が責任をとり、どうすべきか、これこそ緊急事態条項に該当するのではないのか。

また、遠い政府より身近な政府がゆりかごから墓場までの公共サービスを提供する。それが望ましいと口では言いながら、この国を中央集権の国から地方分権の国に変える、憲法改正の条項は見当たらない。最近の再集権化の動きは看過できない。これを変えることです。

それには第2、地方分権の国家形成が明確になるよう憲法に書き込むことです。地方自治権の確立です。2000年に始まる地方分権改革で国と地方を法的に上下主従関係に固定してきた機関委任事務制度は廃止されました。しかし、その後、税財政の自立を保証する改革などは止まったままです。政治の怠慢。逆に今は地方創生、コロナ対策の名のもとに箸の上げ下げまで国が補助金等で差配する、再集権化の動きにあります。

そして第3、国と地方の役割分担も不明確なままです。何が国の役割で、何が地方の役割なのか。3層の政府構造をとりながら役割は複雑に入り組んだままです。これを変えることです。その考え方として「近接性の原則」、身近な市町村が内政の基盤であると明示した上で、ゆりかごから墓場までの行政は市町村が決定、実施すると規定することです。

そして、その市町村を補完しより広域の地域政策を担うと47都道府県に代わる新たな高広域「州」(10程度)を創設し内政の拠点にする。州と市町村が内政を担う。中央政府は全国で統一すべき年金、通貨管理など一部の内政を除き、国家の存立に関わる外交、防衛、危機管理など対外政策にシフトする事です。

さらに第4、地方の自治制度を「多様化」「選択化」することです。現在のような全国一律、小さな町村も大都市も全部同じ制度で動かざるを得ない仕組み、こんな先進国はどこにもありません。地域に選択肢がない。イギリスなどは4つ選択肢があります。規模や地域の特性によって議院内閣制を選んだり、シティマネージャー制を採用するなど、地域が主体的に仕組みを選択できるようにすることです。自己決定・自己責任・自己負担の原則で地域経営ができる、そうした国づくりが可能となるような憲法改正をすることです。

 もっとも憲法改正は国会の発議に止まらず、国民投票が必要な大事業です。時の政治情勢に翻弄されず、次の時代を睨んだ大局観をもって国民の間で熟議を深めることです。それには、改正の論点に関わる十分な情報公開と、十分な時間が必要ではないでしょうか。

 #憲法改正 #借金大国 #地方分権 #情報公開

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