2022年1月24日月曜日

問われる地方議会のガバナンス

  地方議会は身近な住民自治の砦。だが実際は住民からは意外に遠い存在だ。昨夏、都議選で当選した議員の中に、無免許で運転し、相手を負傷させるなどの交通事故を起こした者がいた。当選が決まった翌日マスコミの報道で世間が知ることになる。だが、それからヶ月間、「辞めるべきだ」「辞めさせるべきだ」「辞めない」の押し問答が続き、11月下旬やっと本人が辞表を出し、議員を辞職する形で収まった。 

 東京地検は都議選期間中など計7回の無免許運転の罪でこの議員を在宅起訴、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)を起訴猶予、道交法違反(報告義務違反)は容疑不十分でいずれも不起訴処分とした。この議員。4ヶ月の間議会に出ていないが、報酬等は満額支払われていた。辞職したとはいえ、議会の自浄能力のなさなど後味の悪い決着に皆は納得していない。

この事件をどう見るか。まず議員だろうがなかろうが、無免許運転の常習、人身事故及び隠蔽は許される行為ではない。議員という前に一般市民の常識に立って考えるなら、自己決定・自己責任を原則に議会や政党関係者に言われる前に本人が即「辞任」するというのが普通の感覚ではないか。それをズルズル延ばし議会の機能マヒまで起こしたのは、議員という身分に対する錯覚、”公選者は偉い”というどこか「おごり」があってこうなったのではないか。

地方議員は非常勤の特別職公務員。常勤の国会議員と異なり、本来給与はなく、出席日数に応じて報酬が払われる。日当制が原則だ。労働なければ払われずのはず。また身分は一般職公務員(常勤)と選抜の仕方が違うだけで(一般職は試験、特別職は選挙)、税金で雇われている公僕である点は違わない。特別な存在と考える錯覚(本人も世間も)が今回の間違いの始まりではなかったか。そして住民の常識に沿って、議員を辞職させるのが筋。これができない現状をみると、問われているのが地方議会のガバナンスということになろう。

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