2022年1月27日木曜日

省庁改革は”課“レベルまで掘り込め!

 デジタル庁、「こども家庭庁」と新たな庁の新設が続く動き。保育所は厚労省、幼稚園は文科省と分かれているので、これを新庁にまとめれば、縦割り行政の弊害はなくなるという。まことしやかに語られるが、これってホントか。

「増やす」より「減らす」のが改革の方向と思うが、仮に「統合」するのも1つの方向と認めるとして、外から見た統合だけでは問題は解決するだろうか。

20年前、22省庁を1府12省に再編した。いわゆる“橋本改革”がこれ。郵政省・自治省・総務庁を「総務省」、文部省・科学技術庁を「文部科学省」、厚生省・労働省を「厚生労働省」、運輸省・建設省・北海道開発庁・国土庁は「国土交通省」に統合。経済企画庁・沖縄開発庁は内閣府へ、環境庁は環境省に、大蔵省は財務省、通産省は経済産業省と名称を変え、今に至っている。

またぞろ始まったのが庁の新設。縦割り行政の弊害を無くするという謳い文句だ。確かに橋本行革で省庁は減り大臣数も減った。だから、この改革は成功だったと評価する見方も少なくない。特に政治家はそれを改革の成果として誇示しがちだ。

だが、重要なのは仕事の中身ではないか。建設省と運輸省が統合され国交省になっているが、もし建設省の局と運輸省の局がそのまま国交省に移っただけなら、外観はともかく「看板の掛け替え」に過ぎないと言われよう。実際、外から見るほどに中身は変わっていない。役人の人事も旧省出身ごとに別々に動いている。

省庁官僚制の中は省→局→課の3層構造。行革は省や局レベルだけ見ては不十分。実際は「法解釈の権限を持つ原課」とされる「課」が大事。そこが変わったかどうかだ。

企画立案、法案作成、他との調整、そして与党議員との交渉などは課が中心。民間や自治体などに対する許認可、補助金など助成、行政指導も課が中心。その意味で中央省庁の政策・方針は実質上「課」が権力の基盤とみてよい。

仮に複数の省庁が一緒になったとして、統合前のⅩ省A課とY省B課がそのまま新たなZ省に横滑りしただけなら何も変わらない。2つの課が統合され新たにC課ができたかどうか。再編前の「省庁の壁」を越える課が生まれたかどうか。省庁再編の効果をみるポイントはここだ。橋本改革で中央省庁の約1000ある課で新たに生まれた課は2つのみ。

岸田政権が子ども家庭庁を売りにするなら、課のレベルまで掘り込んで改革すべきだ。首相が哲学をもって改革に挑まなければ、同じ轍を踏むことになる。

#縦割り行政,#省庁再編,#日本官僚制

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