2022年1月20日木曜日

「こども家庭庁」の設計に欠けるもの

「デジタル庁」の次は、「子ども家庭庁」か。このところ次々、復興庁、消費者庁、観光庁、スポーツ庁、デジタル庁、さらに子ども家庭庁と特命担当の大臣が所管する行政組織がつくられていく。政府はこの通常国会に関連法案を提出するという。

22年に創設予定の「こども家庭庁」。確かに子ども関連の政策は、保育園、学童保育、医療は厚労省、幼稚園と学校は文科省、さらに警察庁や法務省、総務省、経産省、国交省と関係省庁も多く、その関係省庁がバラバラで縦割り行政の弊害も目に余る。その点、各省に分散する行政権限をひと纏めにし、横ぐし行政を実現するという発想は評価したい。

だが同庁の創設プランだと、厚労省、内閣府所管の保育所、児童手当児童虐待防止対策など福祉中心の分野は移されるが、幼稚園やいじめ問題は引き続きに残すという。これでは子ども関連政策の一本化という大義が崩れる。外向けの「やってる感」はあるかも知れないが、内実は今とそう変わらない。厚労、文科両省の調整不足は国会審議の中で修正したらどうか。政治の役割とはそういうものだ。

それより、こんなに政府組織は膨張してよいのか。いま政府には統治機構全体のボリュームを適正に管理し、スクラップアンドビルドで膨張を抑制するという発想、機能が失われている。かつて行政管理の総元締めだった行政管理庁が廃止(1984年)された以後、総務省の1局が担当するに止まり、政府内の行政管理思想は細っている。

本来、政治が行政機関をコントロールのが役割だが、残念ながら政治はひたすら世論向けにビルドビルドに走りがち。結果、赤字国債けの財政規模は膨張の一途へ。果たしてこの先、人口大幅減、右肩下がり社会へ向かう日本にあって、こうしたコントロールなき国家経営で大丈夫なのか。むしろ「企画省」のようなヘッドクオターの省を創設し、首相直属の機関が横ぐしの必要な分野をひとまとめに管理したらどうか。自治体には企画部がある。

日本の政府には中長期の計画をつくる企画部にあたる組織がない。各省バラバラの根は各省採用の公務員人事から始まり、採用から退職まで、否、退職後まで「省庁人事」で賄う仕組みにも問題がある。この辺から根本的に変えないと次々「縦割りの弊害」を理由に外庁が増えていこう。時間と共に次第に縦割りとなりあまり機能しなくなる。そうならないか。

#子ども政策 #膨張組織

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