2022年1月28日金曜日

論争すべし「東京リスク」は是か非か

総務省が28日公表した住基台帳に基づく2021年の人口移動報告で、東京23区の転出者が転入者を初めて上回る「転出超過」になったという(14年以降)。コロナ禍で東京への集中は緩和の傾向だが、これが大きな転換点となるかどうか。

東京23区からの転出先を見ると、従前は23区近郊の多摩地域や隣接県の近場が多かったが、今回は神奈川の茅ケ崎や藤沢市、埼玉の上尾市、茨城県つくば市など少し遠い地域への移動が多かったという。大きくは東京圏の中での移動なので東京一極集中が緩和したなどとは言えまい。これが大きなトレンドとして広域分散になるなら話は別だが。

もっとも東京集中を困った事象とみるか、いや望ましいとみるか見方は分かれがち。  

望ましいとする見方によれば、これまでいろいろ策を講じてきたが「ヒト・モノ・カネ、情報」の一極集中には逆らえない。”集中が集中を呼ぶ“動きは自然だ。むしろ一極集中のメリットは大きく「日本を救う」動きだと捉える。「東京機関車」がこれだ。 

他方、望ましくないとの見方は、一極集中がこの国のかたちを歪め「諸悪の根源」。ヒト、モノ、カネ、情報をみな東京が吸い上げ、残された地方は活力を失い過疎化が深刻で、地方消滅の危機にある。もっとも都民だって豊かさの実感を持たない人も多い。生活コストは高く、非正規労働も多い。定年で職を失った人々の老後の不安は強い。子育て環境も悪い。出生率1.2以下、ワーストワンが続くのは日本の人口減少の大きな要因でもある。

皆さんはこの両論のいずれに与しますか。どちらかというと、地方に住む人々は一極集中否定論者が多く、東京で働く人々は一極集中肯定論者が多いようにも見える。ただ事実として、この国は2つの国に分断されてしまった。一極集中、過密の弊害の「東京国」と人口減、過疎の弊害の「地方国」。どうして米カリフォルニア1州ほどの狭い日本をこのような使い方をするのか。これが20世紀から21世紀の持ち越された日本の解けない課題だ。

もとより、日本は昔から東京一極集中だった訳ではない。明治の中頃でも東京の人口は150万人ほどで全国9番目、農業の盛んな新潟が1番だった。だがその後、近代化の進むスピードに合わせるかのように東京の人口は倍々ゲームのように大爆発し現在の1400万人に膨れた。

これがノーマルな姿とは思えない。1つ問題を提起します。これから前例のない「老いる東京」問題が浮上するということ。ヒトが老い、インフラが老いる。東京は豊かだ!繁栄だ!機関車だ!と光を礼賛しているうちに、内側から影が膨らみ、日本最大のリスクを負う状況になってくる。東京に頼り政策的に放置してきた結果、そのツケが一気に噴き出す。

私達は、大都市が老いるという経験を歴史上持たない。例えば今後、老いる東京の問題解決にこれまで全て地方に配ってきた地方交付税(17兆円)の3分の1でも東京に投入せざるを得なくなったらどうなるか。東京も地方も共倒れになってしまう。その点、この国は大きなターニングポイントにあり、大きな政策転換が求められています!

#東京一極集中,#地方分散;#都民のくらし

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